適応障害について
適応障害
進学や就職、異動、結婚、死別、重い身体の病気など重大な生活の変化や社会環境のストレスで新しい環境にスムーズに適応することができず、不安やイライラ、眠れなくなる、食欲がなくなる、体がだるいといった心と身体の両方に様々な症状が現れる状態です。その方が怠けているわけでもなく、適応能力が低いわけでもなく、どのような方にも起こりうるものです。その結果として不登校や職場への不適応、別居や離婚につながることもあり、うつ病へと進展していくこともあるため早い段階で専門機関に相談することが望ましいです。
適応障害の症状は?
・ いつも以上に何事にも不安になる
・ 何だか気持ちが焦ってしまう、ソワソワしてしまう
・ 気分が落ち込んで沈んでしまう
・ 周囲のことが気になり感覚過敏になる、など
・ 食欲がなくなる
・ 寝つきが悪くなる、眠っていても目が覚める
・ 疲れやすく怠い
・ 胸のどきどき、息苦しさ
・ 以前はなかった頭痛や肩こり、腹痛がある、など
適応障害の原因とうつ病との違いは?
特定のストレスが原因となり心や身体に様々な症状が出ることが原因と考えられています。仕事関係での付き合いや家庭環境や生活リズムの変化なども発症の原因となります。最近ではコロナ禍で職場環境や家庭環境が変化したことで発症される方もいらっしゃいます。責任感が強い、几帳面、物事を徹底的にやりたい、周りの評価がついつい気になる、傷つきやすいといった性格の方はなりやすいとされています。
適応障害の症状についてはうつ病と似ている点もありますが、ストレスがないところでは比較的元気でいられるという点がうつ病とは異なります。ただし、適応障害をそのままにしておくとうつ病へと進展することがあるので注意が必要です。
治療については?
治療は主に環境調整と薬物療法、心理的なカウンセリングが有効とされています。適切に治療を行えば適応障害は改善します。
環境調整
特定のストレスが原因となり発症すると考えられているため、まずはストレスの軽減を目指します。ご本人ではストレスに気が付けないこともあるので医師などとストレス因について話してみるのも有効です。
必要時には休職や休学を行い、心と身体を休ませてあげることも重要です。医師が必要と判断すれば診断書を発行することもあります。適応しやすい環境にするために周囲の方々にも相談をして仕事内容の軽減や配置転換などを依頼することもあります。
薬物療法
抑うつや不安、睡眠障害などの症状を認めることが多いため、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などそれぞれの症状に応じて患者さんとも相談しながら適切なお薬を選択します。
心理療法
ご自身の悩みをお話していただき、心の整理をしたりストレスを溜めないような工夫を一緒に考えたりしていきます。
再発防止のために適度な休養や気分転換ができているか、ご自身のペースは保てているか等の振り返りを診察を通して行います。